SSブログ

ダイヤモンド 石合わせ [石留]

image.jpg
ジュエリーの先端部分のダイヤモンドが外れて無くなっています。
直径1ミリ弱くらいの大きさです。
同じ寸法のダイヤモンドを用意してはめ込みます。

1ミリの世界に58面のカットをほどこすなんて進歩した時代の人間のやることはすごいな、と思います。
この大きさの石を今も熟練職人が手作業でカットしているのか、それともオペレーターがコンピュータに指示して機械がカットしているのかは知らないんですが…。

画像から見ると、ダイヤモンドが1ミリで、ダイヤモンドを止めている地金の爪部分は0.2ミリくらいです。実際にダイヤモンドにかかっている地金は0.1ミリくらいです。

ダイヤモンドに外力が加わらないデザインなら問題ないんですが、尖った先にダイヤモンドが付く場合は、このような状態になって修理に出されて来るケースが多くなってきます。

もともと、先端部は衣服にこすれるなどしてこじられることが多い位置です。
七分の三くらいの範囲に爪が無く、ここはダイヤモンド本体で外力を受け止めています。ガードル部分が力を受けますので、必然的にそのダイヤモンドの爪は使用中にこじられます。

サファイアガラスに保護された腕時計の中の文字盤に並べられたダイヤモンドなら、時計ごと床に落とされた時など以外は外圧が加わりませんし、大きなスペースの地金の中に埋め込まれたダイヤモンドならば問題ありませんが、むき出しの場所に並べられたジュエリーのダイヤモンドには辛い環境ということになる爪の大きさです。

何百個もダイヤモンドが並んだこのデザインのジュエリーに肉眼でダイヤモンドを石留していくことは難しいですので、40倍顕微鏡下で作業するのでしょうね。0.4ミリの地金部分をタガネで半分に分けて0.2ミリの一本の爪にします。0.1ミリ部分が4ミリ大に見えての作業ですから微妙な細工が可能です。

細い線を連ねたような今までにないジュエリーもデザイン可能ですし、人間技を超えたような宝石のセッティングも可能な時代になりました。
素晴らしいことです。

でも、実用的かというと、ちょっと、ん〜。

細いデザインで、小さなダイヤモンドが小さな爪で留めてあるジュエリーは、サイズ直し時にダイヤモンドが外れて、磨き仕上げ時にダイヤモンドが外れて、超音波洗浄の振動でダイヤモンドが外れて、使用中にダイヤモンドが外れて…。ん〜。
いったいどなたが喜ぶジュエリーなのでしょうか…?
作業していてそんなことを思いました。

繊細なデザインをした段階と、繊細な枠加工をした段階と、繊細な石留をした段階と、無事出荷した段階はOKです。
顧客に選ばれてから、サイズ直しの必要ができて顧客の手に渡るまでの段階がちょっと辛いですね。
顧客が使う段階で満足が続けばいいのですが…。

ダイヤモンドが小さすぎて落ちていても見えなくて気づかないから大丈夫なのかな、と控えめに微笑んだりして…。

お祈りいたします。


nice!(0) 
共通テーマ:ファッション

nice! 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。