ピンクゴールドリングのヒビ割れ [拡大]
ピンクゴールド指輪のサイズ縮めのご依頼です。
サイズを少し小さくしてから切断箇所を普通にロウ付けしました。
すると、ロウ付け箇所から8ミリほど離れたオレンジ色の位置にヒビ割れが発生しました。
これは割れの入る種類のピンク地金であったか、と思い、その箇所を出来るだけ低温で素早くロウ付けし直しました。
しかしそれでもさらに横にヒビ割れが発生しました。
青色の箇所です。
そのため、さらに地金にダメージを与えないように、外部からの曲げなどの力を加えず、高温に晒されないように出来るだけ低温で、しかも出来るだけ短時間で再度ロウ付けしました。
きれいにヒビを埋めて、きれいに仕上げて納品可能になりましたが、このピンクゴールドリングはこのまま使うことは出来ても、曲げや昇温には耐えられませんので、次回のサイズお直しは受けることは出来ません。
フルオーダーで私が受注するマリッジリングなどはサイズ直しも可能な地金を選んで使用していますが、今回のお預かり品は、そのようなケースでした。
チェーンのロウ付け修理 [雑学]
ホワイトゴールドのネックレスが切れたので直して、というご依頼です。
このような場合にはどうするか、といいますと…。
まず、アジャスタの中のドーナツ形シリコンが横を向いてしまっていますので、チェーンが通るように向きを正常に直します。
そして、ベネチアンタイプのチェーンを球状のパーツに上手に通します。
そこがうまく出来れば第一段階クリア。
次に、正方形っぽいベネチアンの片端のコマのロウ目を正確にカットして、口を開き、もう一方のきれいな形のコマにはめ込みます。
チェーンの幅は0.7ミリ弱ですので慎重に組み立てます。
きれいに出来れば第二段階クリア。
次は、切れ目のあるコマの部分だけをロウ付けします。
2コマはくっつきます。
が、それ以外のコマをロウで固めてしまっては上手な作業とはいえません。
また、チェーンが曲がって固まってしまっても失敗です。
薄い素材を熱で溶かさないように慎重に注意深く作業します。
WGは酸化で黒くなっていますから希硫酸で地肌を出します。
きれいにロウ付け出来れば第三段階クリア。
ロウ目がくすんでいますので、光沢を出すために磨き工程に入ります。
一分間に数千回転している布に研磨剤を付けて、チェーンをそっと当てて磨きます。
一瞬でも気を抜くとチェーンが布に絡めとられてブチブチに千切れます。
今風に言うと、チーン、です。古いかな…?
上手に磨くことが出来ると第四段階クリアです。
次は、超音波洗浄して磨き粉の油脂などを取り去り、更に脱脂をしてからロジウムメッキをします。
脱脂が不充分ですときれいにメッキが出来ません。
ていねいに洗浄と脱脂を繰り返し、ロジウムをホワイトゴールドチェーンの表面に析出させます。
厚くきれいにメッキ出来ると、人の肌に着けても大丈夫なようにきれいにチェーンを洗浄して、充分に乾燥させて出来上がりです。
チェーンのロウ付けという修理作業は、このようにして納品させていただけるようになります。
チタンバングルできました [メンテナンス]
切れてしまったネックレス [修理]
カットボールのチェーンが切れて、修理のご依頼です。
いつものように、ボールに軸を差し込んで、まっすぐになる位置に調整してからロウ付けして、輝くように磨いて、フラックスや研磨剤を洗浄して、油脂を落としてからロジウムメッキをして、ボールの奥までしっかりと乾燥して、新しいものと同じに見えるようにきれいに仕上げます。
カバンで言うと、取っ手が壊れた状態のものを直すような感じです。
洋服で言うと、かぎ裂きができて破れたような感じのものを。
靴で言うと、ヒールが折れたような感じのものを…。
車で言うと、タイヤがバーストしてしまったものを直す感じ。
家で言うと、玄関ドアが外れてしまって夜も戸締りできないものを直す感じ…。
修理が必要なジュエリーは、早い目にお直しに出されるとまた安心して楽しむことが出来ます。
技術があって信頼できるところに依頼されることも必要です。
愛着のあるジュエリーならなおさらですね。
クンツァイトが綺麗です [メンテナンス]
ずっと昔にお求めいただいていたクンツァイトのルースを、何年か前にペンダントトップに制作加工させていただきました。
今日、胸元に着けてご来店くださいましたのでメンテナンスいたしました。
洗浄しただけなのですが、化粧品、油脂、汗、埃などが取れて、輝きが増しました。
喜んでいただけました。
こんなにきれいになるのですから、着物や洋服と同じように、着ける度ごとに、または毎日お使いのジュエリーは数日ごとにクリーニングされることをお勧めします。
研磨するのではなく、クリーニングです。
車で言うと、コンパウンドで磨くのではなく、洗車です。
仕事柄、身につけておられるジュエリーに目がいくのですが、10人のうち9人位のジュエリーが汚れています。
宝石が曇っていたり細部に垢が詰まっていたり…。
マリッジリングの小傷は結婚生活の歴史でもあり誇らしいものですが、宝石の付いたジュエリーやファッションジュエリーは毎日きれいに輝いていたほうがいいです。
そのほうが気分がいいと思われませんか?
時計バンドのロウ付け修理 [時計]
1ミリの部品をロウ付け [修理]
タイガーアイのブレスレット [メンテナンス]
気分をリフレッシュさせないと…
純金球の素材確保 [制作]
葉っぱのペンダントトップ
制作三昧の日曜日 [ロウ付け]
南洋真珠ペンダント修理 [ロウ付け]
久しぶりに触れる我が子のよう [メンテナンス]
K18の時計が直りました [時計]
加工の繰り返し [ロウ付け]
一月半が経過… [フルオーダー]
オーディマピゲの裏蓋 [時計]
K18時計バンドロウ付け修理 [時計]
プラチナとダイヤモンド [制作]
酸素は黒い容器 [雑学]
作業時にはK18YGの方が硬いと感じますが、プラチナの方が硬い金属と言う人もあります。
硬さと粘り強さが混同されていたり、曲げる時や彫る時の感触が感覚的な硬さとして表現される場合もあって、その時に話している内容が人によってずれていることも多く、面白い場面に出合うこともあります。
ルテニウムを混ぜたプラチナよりも純チタンのほうが硬いですし、純チタンよりもバナジウムなどを混ぜたチタン合金の方が硬いです。
純チタンにも種類があって、それぞれにまた硬さが違いますから面白いですね。
硬い方が品物として良いものかというと、今度は硬過ぎて手作業では加工出来なかったり、研磨が難しかったり、脆かったり、磨耗しやすかったり…。
より完璧に近づけるために用途によって使い分けるんですね。
20年以上チタンリングを創作していますが、金属素材の自然な光沢に価値を置いていることに変化はありません。金属に色をつけることにはまだ違和感があり、カラフルなリングには喪失感や絶望感や滑稽感が湧きます。個人の感覚ですので変えようがなく、ナチュラルな自然色のみを選択し他は諦めています。
モリブデンなどとの合金の酸素ボンベはとても硬く、容器を叩くとカンカンと非常に固いことが分かる金属音がします。酸素ボンベは黒く塗ってあって、プロパンガス容器はグレーに塗ってあります。
工業用の工具を扱う人はチタン素材を柔らかいと思うでしょうし、プラチナでジュエリーを作っている人はチタンをとても硬いと感じます。チタン切削工具は硬いです。
立場や仕事や経験が違うと、いろいろなことで感じかたも違うのですね。