黒い線がプラチナに見える [サイズ直し]
Pt900のリングのサイズを大きくすると、ロウ付けした跡が黒っぽく見えています。
プラチナリングにもPt1000があったりPt950だったりPt900だったり時にはPt850のリングであることもあります。
プラチナロウも高温ロウや中温ロウや低温ロウ、それにホワイトロウがあったりして、それぞれ合金成分が違いますから混ざっている金属の種類や量が違い、色も微妙に違います。
それなら作業の前にプラチナリングとプラチナロウの色がピッタリ合うのをしっかりと選んでから使えばいいではないか、というご意見もごもっともではありますが、それがなかなか…。メーカーが違うと混ざり物の種類が違い、色がしっくりとは合わないんですね。
たいていはちょっと見ても分からないようにきれいに仕上げますが、それでも、溝が掘れているわけでもなく巣の連続ポツポツが並んでるわけでもないのに、しっかりと線が分かってしまうことがある時があります。
そんな場合は、ロジウム仕上げ。プラチナ属の硬いロジウムで表面を数ミクロンメッキして全体を同じプラチナ色にします。表面保護にもなります。
ホワイトゴールドの製品にはほとんどのジュエリーにロジウム仕上げがしてあります。
特殊な方法として、ロウを使わず、薄い板地金を間に挟んで指輪本体の地金といっしょに溶かして、ロウ目の無いサイズ直しをする時もあります。
腕の細い指輪の場合や宝石が近くにある場合は高温にできませんので、そういう方法は使えません。
この画像のリングは、あとでロジウム仕上げをします。
取り戻せない時間… [謎]
スライスした玉ねぎのような真珠の断面に見入ってしまいます。
それも鋭利な刃物ではなく、なまくら包丁で素人が時間をかけてもうまく切れなかったようなガタガタした同心円模様に。
汗で腐食したような有機質の真ん中の白い光りが魅惑する。
4本のゴールドの爪はK14かK9か…。
卵の殻よりも少し硬い位の真珠の尖った角にいかほどの力を加えて地金を曲げたのか…。
割れずに欠けずに今もって定位置に納まっている姿が偉大に見える。
中心の光る真珠は0.2ミリくらいの大きさで、ではその中にあるはずの核となった砂粒のようなものの大きさは0.1ミリかそれとも0.01ミリか…。
何が入っているのか…?
ガリレオがレンズを磨いた頃は日本の江戸初期あたりで、世界に類が無く進化した日本の彫金技術の黎明期でもあり、彫金師は次第に細密になっていく金属表面の図案を、肉眼だけで確認しながら細工したのであろうか…。
いろいろ思いが巡り、今夜もまた眠れそうにない。